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オヤジの情景
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私にとって一番の『モテキ』は、中学生時代であった。
自分で云うのもオコがましいが、
ナンテたって、私はカワイかったのである。
カワイイのは生まれてすぐからで、
25歳あたりから急激にブサイクになってゆくのだが、
中学時代はホンにカワイイ少年だった。
そういえば、初恋がこの頃だった。
片想いであった。
西川さんという二つ上の先輩で、清楚で控えめな印象の方だった。
うつむき加減の横顔が、見事な佇まいの女性だった…。
だなんて、中学一年生の小わっぱが、思うわけがない。
今、還暦を迎えるお年頃ともなると
『うつむき加減の横顔が、見事な佇まいの女性だった…。』
となるわけである。
西川先輩は、我が船橋中学校のマドンナで、誰からも好かれていた。
ようするに私にとっては高嶺の花で、
それでも私は西川先輩が大好きだった。
そして私はこの時、初めてモンモンとすることを体験した。
だが、私のこの初恋は、呆気なく、
かつ、当たり前のように終わってしまった。
何故なら私は、
ジンジョーではない恋心と
モンモンに直面することとなったからである。
続く

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オヤジの情景
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私が通っていた中学校は、東京世田谷区にある、
船橋中学校というトコロで、ごく当たり前な感じの学校であった。
これがどうしたことか、
私が在学中、ひとつ上の先輩に、
日本を代表するドラマー、渡嘉敷祐一氏、
ひとつ下には、
伝説のロックバンド『子供バンド』、
その後俳優として大活躍する、うじきつよし氏が在校していた。

うじき氏とは、同じバレーボール部ということもあって、
当時は近しかったが、卒業後は、
彼は『子供バンド』で、一躍注目を集め、
スターダムへとかけ上って行き、私とは疎遠になってしまった。
ずいぶん経ってから、
家内と歩いていた街中で、バッタリ彼と再会したことがあった。
彼が「先輩!」と言って、
満面の笑みを浮かべて話しかけてくれたのはありがたかった。
グータラ亭主のカブがグッと上がった訳である。
持つべきは良い後輩である。

一方、渡嘉敷氏とは、先輩だけに、在校中は会話もできなかった。
私のような年代のものは、
中学生ともなると、シッカと上下関係があって、
それは中々良いものであったのだ。
渡嘉敷氏は、うじき氏と同様に、
高校時代からその名を馳せて、
ドラマーとして、瞬く間に一流ミュージシャンとなり、
80年代を、それはもうブイブイいわせて、業界を闊歩していた。
当時三流ミュージシャンのカタスミにいた私はそれを、
羨望の眼差しで、見つめていたものである。

月日が経って、私が事務所のオヤジになってしばらくしたころ、
あるレコーディングで渡嘉敷氏と再会した。
ご挨拶にいったところ、
「あっ、久しぶり!」と言って下さったのには驚いた。
私と渡嘉敷氏とは、それまで業界で接点があったとは言い難く、
とはいえ、ニアミス程度はあった。
そんな程度の私ごときに、優しく声をかけて下さったのである。
事務所のオヤジとしては、
スタッフに対してグッとカブが上がったわけである。
う~むぅ、持つべきは良い先輩であることは云うまでもない。

続く