scene chapter1-8

scene chapter1-8
 
父の実家は三重県の四日市市で製氷業を営んでいた。
昭和20年代、盛況であったらしい。父の祖父が創業したという。
父はその長男で、大事な跡取り息子だ。
それが母のような素性のモノと、
フンフンしていることを知り騒然とした。
父はまだ在学中だ。実家が嬉しく思うわけがない。
そこで実家からの命を受けて、会社の専務さんだか常務さんが、コッソリ上京し、父には内緒で母を訪た。別れ話を持ちかけにやって来たのだ。
母は会った。
随分なヒドイことも言われたらしい。
ようは、今、別れてくれるのなら、それ相応の謝礼はするからという話だったらしい。
母は黙って聞き、何も答えず、ひたすら沈黙を通した。
それを専務さんは、どうやら了承が得られたものだと勝手に思い、
メデタシメデタシと上機嫌で、手切れ金を置いてサッサと帰っていってしまったそうな。
手切れ金は200万円だったという。
昭和20年代の200万円は大金だ。
母は大いにムカつき、かつ困惑した。
すぐさま父を呼び、
ことの次第のすべてを父にぶちまけた。
そしてその翌日、
二人は思わぬ行動に出る。
父と母は、なんとその手切れ金を握りしめ、
手に手をとって駆け落ちしたのである。
で、二人が駆け落ちた場所というのが、
箱根の小涌園ホテル???
しかもスイートルーム???
二人は小涌園ホテルを拠点とし、
毎晩タクシーで銀座に繰り出し、大豪遊したそうな。
そして、
なんとひと月チョットでその手切れ金をスッカリ使い切ってしまった。
この傍若無人なフルマイに、当然のことながら実家は激怒した。
父は実家から勘当され、二人は世間の荒波へと放り出された。
後に母は私にこうノタマイました、
「いやいや、あんとき、一生分の贅沢をしたわ。だから今の貧乏なんてヘイチャラ…。イイ思い出だわ。」
父はこうノタマイました
「いやいや、あのときは面白かった!ついでにお前までお母さん身ごもっちゃて!ンかっかっかっ(笑)!」
父の実家は、母が身ごもったことを知り、様相が一変した。
二人のタダシイ結婚を条件に全てを不問にしたのだ。
そして私が誕生した。
父と母は、実家の近所で新婚生活を始めた。
が、
父はソッコーで浮気を始める。
アキレた男である。
で、
母は暴れる。
キョーボーな女である。
と、
実家は母に加担した。
つまり私をとった。
父は再び実家から勘当され、
私と母を残して、トンズラこいた。
私と母は父の実家に入ったが、
母はその厳格な家風に耐えられず、私を連れてトンズラこいた。
どうも私は、トンズラ好きの両親を持ったものである。
続く。

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