或る日の情景~神田界隈02

神田藪蕎麦
お蕎麦という食べ物はウンチクの多い食べ物で、
コレがまた亡父の得意技でありました。
亡父と一緒にお蕎麦屋さんに入って「カレーうどんか食べたいなぁ~」だなんて云った日ニャ、御池にハマってさぁタイヘン。
亡父のなが〜い、なが~いウンチクが始まってしまいます。
ンまぁ、ソレはソレはウルサくて、ウザッたい親父でありました。
トコロが、なんということでしょう!
今、私がまさにそのウルサくてウザッたいオヤジになってしまったではありませんか!
 
私がお蕎麦を好きになったのは、24、5歳の頃からで、キッカケは故子母沢寛氏の名著『味覚極楽』の1編に、蕎麦行脚の一説があって、ソレを真似してみたくなったことから始まりました。
そこで発見したのが『神田藪蕎麦』。
早速行ってみると、
その趣のある店構え、店内のフンイキ、店員のオバ様たちの客あしらいの良さは見事なものでした。
さらには、店内に響く朗々とした女性の声!
帳場に座る女将が発する「いちばんさぁぁぁぁん、せいろぅ、いちまいぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~」と、
それはまるで競技かるたの読み手が読み上げる歌の上の句を聞いているかのような美声で、その声が厨房からホールに至るまでの仕事の一切をコントロールしているようなのです。
声は続きます。
「さんばんさ~~~~~~ん、おちょうしぃ、にほんんん~~~~~」
ンもう~たまりません!
この声を肴に日本酒を常温で一本、アテはそば味噌に焼き海苔。
調子がいいと天ヌキでもう一本。
ウットリと酔いしれたらせいろう二枚。
だなんて、あああああっウルサイ、ああああっウザイ!

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