scene-chapter1-17

chapter1-17
バレーボール部の部活動初日の日がやってきた。
外は生憎の雨である。
我々一年坊は、校舎と体育館をつなぐ、20〜30mほどの長さの、トタン屋根がついた通路に横列に並ばされていた。
雨は本降りで、トタン屋根に当たるその雨音で、普通の会話は聴き取りにくい程だった。
それでも我々は、今日から楽しい部活動ルンルン!
手な感じでヘラヘラしていると、上級生がたった一人で通路にやってきた。
そこには私を勧誘してくれた優しい先輩方はおらず、ただ一人3年生の飯田先輩という方が、立ちはだかるようにやっていた。
何やら不穏な気配である。
飯田先輩は、見るからに健全で、そしてタダシイ姿勢の人で、まるで青春ドラマの主人公のようだった。
飯田先輩は、オドオドとしている我々の前で、
「整列!」と、とても大きな声で云い、
「飯田です!」と、とても凛とした声で云い、
そして、
「腕立て50回!」と、とてもハッキリと云った。
私は『寝耳に水』というモンゴンをこの時初めて知った。
『吃驚仰天』というモンゴンもこの時初めて知った。
そして私はトホーにくれた。
腕立て伏せは、これまで10回以上、したこともなければ、できたこともない。
もちろん、やってみようなどと考えたこともない。
だが、この時、この場のフンイキは、
やるしかないというフンイキなのである。
私は『四面楚歌』というモンゴンをこの時初めて知った。
『万事休す』というモンゴンもこの時初めて知った。
そして私は『腹をくくる』というモンゴンをこの時初めて知った。
続く

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