scene-chapter1-21

この日以来、私は変わった。
カッコつけて云わせて頂くと『男』としての第1歩をフンだのである。
まず言葉づかいが変わった。
『ボク』が『俺』になる。
『お母さん』が『オフクロ』になる。
『ご飯』が『メシ』になる。
『お友達』が『ダチ』になる。
『お巡りさん』が『マッポ』になる。
そういえば、
私らの頃は『不良』のことを『ヤンキー』とは云わなかった。『ツッパリ』と云った。
船橋中学校は、というより世田谷区には比較的ケンゼンなショーネンが多く、キケンな『ツッパリ』はあまりいなかったように思う。
これが台東区、荒川区、北区、江東区といった方面は当時、たいへんデンジャラスで、校内の廊下を生徒が先生を追いかけ回したとか、アッチの学校がコッチの学校に殴り込みをかけたとか、コッチの学校がアッチの学校に火をつけたとかブッソーな噂はキリがなかった。
だが、部活にハマっている私にはそんなことは関係なかった。
なぜなら私は確変したからである。
10回もできなかった腕立て伏せや、腹筋運動が、トツゼン出来るようになったからである。
私はこの確変が続けと願い、そして続くよう自主練を実行した。
朝起きると、
アパートの廊下で腕立て伏せ。
学校にゆくと、
休み時間に腕立て伏せ。
昼休みに腕立て伏せ。
そして部活が終わって家に帰っても腕立て伏せをした。
結果、腕立て伏せ50回、腹筋50回は余裕で出来るようになった。
船橋中学校バレーボール部は部員数約30名、我々新入部員は当初10数名いたが、1ヶ月で8名にまで減ってしまった。
腕立て伏せや腹筋などのトレーニングに、ついてこれないショーネンもいるのである。
だが私は確変したおかげでついていけた。
なぜ確変したのか?ソレはよくわからない。
が、ヒトというのは、聞くところによると、
たまぁ~にだが、トンデモない、意味不明の、説明のつかないコトをしでかす『いきものの』ようである。
そしてヒトは誰でも、一生の内1~2度は確変するようである。
また、私にとってシアワセだったのは、
それは頑張ると、ホメてくれる先輩や、仲間がいてくれたことである。
私は東京に転校して以来、仲間外れが続き、東京が嫌いになっていた。
だが、中学に上がってこの部活の体験で人生が変わった。
東京が好きになった。
そして何よりも人が好きになった。
私は救われたのである。
続く。

コメントを残す